坂越の牡蠣の特徴
坂越の牡蠣の特徴として挙げられるのは
1.加熱しても縮まない
2.磯臭さがなく苦手な方でも食べられる
3.ワンシーズンでいろいろな味わいが楽しめる
4.あまくてクリーミー
などでしょうか
何故そう言われるのか、他産地とどう違うのか、はたまたそれは本当なのかをあくまで個人的な見解で説明していきます。
1.「加熱しても縮まない」
これに関しては、半分本当で半分間違いです。
そもそも牡蠣を加熱した時になぜ縮むかご存知ですか?
加熱することによって、牡蠣が吸っていた水分が外に出て、その分縮みます。
牡蠣の身に含まれるグリコーゲン。これが多く含まれていると牡蠣のお腹の部分が白くなります。さらに、より身が入ってくると少し黄色がかってきます。
逆に透き通って いると海水を多く含んでいるので、加熱すると縮んだり生で食べるとしょっぱかったりします。
なぜ加熱しても縮まないのが半分本当で半分間違いなのか...
それは、「食べる時期」によるからです。
一年牡蠣と呼ばれる坂越の牡蠣は、5月頃種つけを行います。そこから約6ヶ月後に収穫をしていくんですが、身入りが良いとはいえ個体差があり縮むものも中にはございます。
12月中旬以降になると、水温も下がり、身が引き締まってきますので加熱しても縮まない、あるいは縮みにくい牡蠣になってきます。
生で食べられる方は、11月の牡蠣は程よい塩気と甘味が感じられます(トマトやスイカと同じ感覚)が、焼いたり蒸したりして召し上がりる方は、縮む可能性があるということ知っておいていただいた方が良いかと思います。
(2月に開催された牡蠣祭り時の焼き牡蠣)
2.「磯臭さがなく苦手な方でも食べられる」
牡蠣が苦手な理由は
・えぐみがある
・苦い
・体調を崩したことがある
・匂いが泥臭い
・体質的に合わない
など様々あるかと思います。
牡蠣は養殖海域と養殖期間によって全く違う味になります。当然といえば当然ですが...
養殖海域に関しては「坂越湾(さこしわん)について」をご覧ください。
養殖期間によってどう変わってくるのか。
坂越の牡蠣は一年牡蠣と呼ばれており、種付けから一年で養殖筏の牡蠣の収穫が終わるようなサイクルで回っています。
(一年牡蠣の概念は産地によって様々ですが、播磨灘の一年牡蠣の考え方はこうです。)
早いものは半年から水揚げが始まり、その養殖期間は他産地(広島県、岡山県など)と比べかなり短いです。
半年で収穫できるようにまで牡蠣が成長するのも、恵まれた環境の坂越湾ならでは。
成長が速いため、牡蠣特有の匂いや磯臭さがなく、食べやすい牡蠣に育ちます。
苦味やえぐみも同様、養殖期間が長くなればなるほど強くなってきます。
良い言い方をすれば、マイルドで爽やか。悪くいえば、淡白で味気ないと言えますが、あくまで他産地と比べてですので、その産地特有の味を食べ比べて楽しんでみてください。
泥臭い牡蠣に関しては、紫外線殺菌処理や洗浄処理を怠っている可能性がありますので、お気をつけください。
体調を崩したことがある方、体質が合わない方は、「生食用・加熱用の牡蠣の違い」について確認していただき、それでも体調を崩してしまう方は、生で牡蠣を召し上がるのは控えていただいたほうが良いかと思います。
牡蠣について詳しく情報発信しているサイトを載せておきます
3.「ワンシーズンでいろいろな味わいが楽しめる」
上記でも説明させていただきましたが、坂越で育つ牡蠣は成長がとても速いです。
11月から5月までの養殖期間で、毎月味や大きさが変わってくると言っても過言ではありません。
ですので、機会がありましたら、毎月と言わずワンシーズンで、走り(11月〜12月)、旬(1月〜3月)、名残り(4月〜5月)とそれぞれの時期に食べてみてください。
それぞれの季節によって違いが感じられると思います。
4.「あまくてクリーミー」
坂越の牡蠣が甘いのは、海の塩分濃度と牡蠣の身入りに大きく関係しています。
坂越湾の塩分濃度は、約3.4%、広島県は約3.8%と、その差0.4%とわずかなように思われますが、このわずかな差が大きく味に変化をもたらします。
近隣の海域の中でも、最も低い塩分濃度になっており、坂越湾には千種川と山の伏流水が湧いていると考えらます。
そして身入り。毎シーズン定期的な調査とシーズンによっては毎日の身入り調査記録をつけています。
(2019年12月21日の記録)
表でわかりますように、牡蠣の総重量に対してどれくらいの身が入っているのか数値化しています。
もっとも身入りがよくないもので24%と 100gの牡蠣に24g 以上の身が入っていることになります。冒頭の「加熱しても縮まない」の箇所でお伝えしたように身入りがよく含まれる海水が少ない。また、坂越湾の塩分濃度が低いことも相まって、
より甘さが感じられる牡蠣
になっています。
そしてクリーミー
クリーミーという表現に関しては個人の見解で説明させていただきます。
春の気温が高くなってくると、牡蠣は卵をもつようになります。
「かきは10℃になると卵や精子が形成されはじめ、水温が高いほど早く成 熟します。 積算水温((海水温-10℃)×日数)を求め、積算水温が600℃を超えると 受精が可能になります。」
水産関係用語集(積算温度) - 宮城県公式ウェブサイト
より抜粋、引用
この卵がとろっとしていて甘味があってクリーミーとよばれる一番の要因なんです!!
北海道仙鳳趾(せんぽうし)産の牡蠣をご存知でしょうか?
仙鳳趾の牡蠣は、よくクリーミーと評判です。
オイスターバー牡蠣ツ端様公式サイトより
うっすらお腹の部分がピンク色をしているのがお分かりになりますか?これが牡蠣の卵です。
春の名残りの季節、卵を持ちだした坂越の牡蠣は、さらに甘味と濃厚さが増し、クリーミー感が半端ないです!
お好きな時期と産地を食べ比べて、お気に入りの産地を発掘してみてください。
ただしい知識とただしい食べ方で、おいしく食べておいしく健康的な食事を!!